【6月1日 AFP】ロシアの一流医科大学の4年生、アレクサンドラさんは感染症の専門家になりたいと思っている。だが、大学当局から新型コロナウイルス病棟での研修が必須だと言われたとき、思わず尻込みした。

「これは任意の選択ではないのです。新型コロナウイルスは危険なのだから、選択の権利を与えるべきです」。ロシアの首都モスクワにある国立セチェノフ第一医科大学(I.M. Sechenov First Moscow State Medical University)で学ぶアレクサンドラさんは語った。

 大学側の決定は、医学部4~6年生の学生を新型コロナウイルスの治療施設に送り、医療研修の仕上げをさせるというものだ。対象とされる中には21歳の学生もいる。
 
 自分がウイルスに感染する可能性、さらに家族も感染させる可能性がある研修を受けるか、さもなければ除籍される可能性に直面した医師志望の若者たちは、この決定に抗議している。

 ロシア保健省は4月27日、この措置を5月1日から実施すると発表した。法令によると歯科および小児科を含めた全医学分野の学生が対象で、「医療上の禁忌」がある場合にしか拒否できない。

 6年生のスベトラーナさんは「参加を拒否する学生は資格を得られなくなり、退学となる可能性がある」と話した。

 学生らは保健省に法令の撤回を要求するオンライン署名を開始した。インスタグラム(Instagram)では「強制労働」に反対する運動が進行中だ。