【5月26日 AFP】インドで、80年も飲まず食わずだと主張していたヨギ(ヨガの行者)のプララド・ジャニ(Prahlad Jani)さんが26日、死去した。隣人がAFPに明らかにした。

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 長い髪とひげをたくわえたジャニさんは、西部グジャラート(Gujarat)州チャラダ(Charada)村出身。この村で、ヨガと瞑想(めいそう)をして日々を過ごしてきた。

 ジャニさんは1929年8月生まれだと話しており、これに基づけば90歳だった。

 隣人はAFPに対し、「ジャニさんは26日朝、自宅で老衰のため亡くなった。同日午前0時を回った後、病院に救急搬送されたが、到着時に医師らによって死亡が確認された」と明かした。

 ジャニさんの遺体は、アンバジ(Ambaji)の町にある彼が創設した小規模な修行施設に移され、弔問に訪れる人々のため2日間保管され、28日に火葬される予定だという。

 ジャニさんは、子どもの頃に女神の祝福を受け、以来栄養を取らなくても生きられるようになったと語っていた。これを聞いた少数の人々がジャニさんの信者となった一方で、医療の専門家らは疑いを向けていた。

 ジャニさんは2003年、AFPの取材に対し「口蓋の穴から得た不老長寿の霊薬により、食べ物や水がなくても暮らしていけるようになった」と話していた。

 ジャニさんの主張を確認するすべはなかったが、人間は器官の損傷や体調不良を起こすことなく長期間飲まず食わずで生き続けることはできないと、医師らは語っていた。

 それでもジャニさんの主張は、インド医学界の関心を引いた。2010年には、軍医らの研究班が、グジャラート州の最大都市アーメダバード(Ahmedabad)の病院で、ジャニさんを2週間にわたって観察。

 ジャニさんはカメラで監視され、医師らが器官や脳、血管をスキャンし、心臓、肺、記憶力の検査を行った。

 研究班によると、ジャニさんは食べることも飲むことも、トイレに行くこともなく、液体と接触したのは、定期的に行ったうがいと入浴の際だけだったという。

 神経科医は当時、記者団に対して「ジャニさんがどのように生き延びているのか、いまだに分からない。これはどういった現象なのか、依然謎だ」と語っていた。

 この調査は、インドの防衛研究開発機構(Defence Research and Development Organisation)が着手したものだったが、その結果は公表されることも、査読のため提出されることもなかった。(c)AFP