【5月26日 AFP】香港の警察当局トップは25日、中国が香港に「国家安全法」の整備を計画していることについて、「テロリズム」と独立要求を排除するために必要だとして歓迎する姿勢を示した。

 中国政府は香港に、政府に対する「反逆、分離、扇動」を禁止する「国家安全法」を整備しようとしている。香港では昨年、数か月にわたる大規模な反政府デモが繰り広げられ、暴力沙汰に発展することも多かった。

 香港市民の多くは、香港が享受してきた自由を取り上げる法案だと懸念を示し、新型コロナウイルス対策で大人数での集会が禁止されているにもかかわらず、24日には数千人が街頭に出て抗議デモを行った。警察は、少なくとも180人を逮捕したと発表している。

■中国国営メディア、「民主派デモ隊による暴行」動画を配信

 中国政府はこれまで、香港の一連の抗議デモについて、国家の不安定化を狙い、外国が支援する策略だと表現してきた。

 25日には複数の国営メディアが、弁護士1人を複数のデモ参加者が暴行する動画を相次いで採り上げた。

 前日の24日に撮影された動画には、顔に血が付着した男性が、蹴ったり傘で殴ったりする5人ほどのデモ参加者から逃れようとする様子が捉えられていた。

 現地の弁護士会は、男性は同会に所属しており、病院に搬送されたと発表した。地元メディアによると、男性はバリケードを設置しようとするデモ参加者らと口論になったという。

 中国の共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)の編集長は、中国本土では利用が制限されているツイッター(Twitter)にこの暴行の動画を投稿し、「米国が支持する香港の民主主義の真の姿を見てみよう」と書いた。

 また人民日報も自社のツイッターアカウントで同じ動画を配信した。

 中国政府は、民主派のデモ参加者らが対抗勢力を攻撃する様子を映した動画に言及しては、民主派は暴力的な過激派だと訴えている。(c)AFP