【5月25日 AFP】英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は24日、側近のドミニク・カミングス(Dominic Cummings)首相上級顧問が新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)の外出規制に違反したとする与党内からの圧力をはねつけ、カミングス氏を擁護した。

 カミングス氏はジョンソン氏の側近として2016年のEU離脱(ブレグジット、Brexit)運動を成功させた立役者だが、英政界での評価は分かれている。

 当局が新型コロナの症状がある人に自宅隔離を呼び掛けているにもかかわらず、カミングス氏が新型コロナウイルス感染症の症状があった妻を伴って地方へ行っていたことが批判されている。

 ジョンソン首相は24日、カミングス氏と協議した後に記者会見し、カミングス氏は「責任を持って合法的に、誠実に行動した」と信じていると述べた。

 ジョンソン氏は「私は、カミングス氏とその妻が新型コロナウイルスで動けなくなりそうなとき、そして他の選択肢がないときに、子どもの世話をしてくれるところを見つけるために移動したのだと結論付けた。彼は父親そして親ならだれもが持つ本能に従ったのだと思う」と語った。

 カミングス氏は自身に症状が出ていると報じられた翌日の3月31日に、ロンドンの自宅から400キロ以上離れたイングランド北東部のダラム(Durham)にある両親の家の近くで、息子と一緒にいるところを目撃されていた。

 高級日曜紙オブザーバー(Observer)と大衆日曜紙サンデー・ミラー(Sunday Mirror)は、カミングス氏がいったんダラムからロンドンに戻った後、4月19日にも外出規制を破って再びダラムにいるところを目撃されたと伝えていた。

 目撃者は両紙に、カミングス氏は4月12日にダラムから30キロ離れたバーナードキャッスル(Barnard Castle)にいたのを見たとも語った。英首相官邸は3月末、カミングス氏は症状が出たため自主隔離に入ったと発表していた。家族と共にロンドンを離れたとき、カミングス氏に症状があったのかどうかは明らかになっていない。

 ロックダウンの規制に違反して外出したスコットランドの最高医療責任者と英政府のコロナウイルス対策の専門家会議の委員は辞任に追い込まれた。ジョンソン首相の擁護でも世論の怒りは収まらず、むしろ同首相の政治的判断力への疑問が噴出している。(c)AFP/James PHEBY