【5月25日 Xinhua News】中国乗用車市場情報連合会(CPCA)の最新統計によると、米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)が中国で生産した「モデル3」の4月の販売台数は3635台で、前月比64・2%の大幅減となった。モデル3は中国での生産開始後、補助政策の変化などで価格改定を繰り返し、いったん値上げしてすぐに値下げしたこともあった。不安定な価格は人々の購入計画を乱し、消費者の購買意欲を一定程度冷やした。テスラは中国で適正な価格管理体系を築く必要がある。中国証券報が伝えた。

 ▽自動車市場は回復

 中国の自動車市場は回復に向かっている。CPCAの4月の乗用車市場販売統計によると、新エネルギー乗用車の卸売台数は前月比14・8%増の6万4千台。メーカー別では、中国EV大手の比亜迪(BYD)、合弁会社の一汽大衆汽車(一汽VW)や長安福特(長安フォード)のほか、上海蔚来汽車(NIO)や理想汽車などの新勢力も急成長し、新エネルギー車(NEV)市場で重要な存在になっている。

 注目すべきは、テスラの中国産モデル3の販売が前月の1万160台をはるかに下回る3635台にとどまり、下げ幅が64%にのぼったことだ。販売台数トップの座もBYDの「秦EV」に明け渡した。

 ▽直販モデルのデメリット浮き彫りに

 国産テスラの不安定な価格体系は消費者の購買意欲の発揮を妨げる要因になっている可能性がある。同社は年初から価格改定を繰り返し、特に4月以降は国産モデル3をいったん値上げしてから再び値下げするなど、早めに予約した人の不満を誘った。

 財政部、工業・情報化部、科学技術部、発展改革委員会は4月23日、「NEVの普及・応用に向けた財政補助政策の改善に関する通知」を出し、補助対象となる新エネルギー乗用車の価格を30万元以下と規定した。補助前の価格が30万元を超えていた中国産モデル3は対象外となった。

 市場ではこれを受け、テスラが市場価格を引き下げるとの観測が高まった。だがテスラは中国公式サイトで翌24日、モデル3のスタンダードレンジ・プラスとロングレンジの価格をそれぞれ4500元、5千元値上げすると発表した。

 だが値上げは長続きしなかった。テスラは1日、微博(ウェイボー、Weibo)の公式アカウントでスタンダードレンジ・プラスの価格を29万1800元に引き下げると発表。再び補助の対象となり、補助後の価格は27万1550元になった。

 CPCAの崔東樹(Cui Dongshu)秘書長は、公式価格の頻繁な改定はテスラの直販モデルのデメリットを浮き彫りにしたとした上、「間接販売ならディーラーの利益還元などを通じた柔軟な調整で消費意欲を引き出し、生産・販売のバランスを確保できるが、直接販売の場合、公式価格を改定するしかない」と述べた。公式価格の改定を繰り返せば、消費者に大きなダメージがかかることになるとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News