【5月24日 AFP】第2次世界大戦(World War II)の最中の1943年に、ドイツの首都ベルリンにある動物園を襲った爆撃を生き延び、戦後はロシアで過ごしたワニの「サターン(Saturn)」が、84歳でこの世を去った。ロシアのモスクワ動物園(Moscow Zoo)が23日、発表した。

 同動物園は、サターンの死について「一つの時代の終わり」とコメント。ミシシッピワニは野生下で50歳を超えることがほとんどないため、84歳は「立派な年齢」だという。

 サターンは1936年に米国で生まれ、その後ベルリンの動物園に移された。空襲により仲間たち数頭が死んだ後、1943年11月23日にこの動物園を脱走。

 1946年になって英軍兵士らに発見され、旧ソ連当局へ引き渡された。

 同動物園によると、この空白の3年間のサターンの居場所は「謎」だという。

 また、サターンがモスクワに連れてこられた46年7月当時、サターンはナチス・ドイツ(Nazi)のアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)が個人的に収集した動物だったとのうわさが広まったという。

 同動物園は、食べ物にうるさく、ブラシでマッサージされるのが好きだったというサターンを飼育したことは「光栄」だったとコメント。

 ナチス・ドイツに対する「勝利の後にわれわれの元にやってきた」「私たちとともに対独戦勝75年を祝った」とも述べた。

 さらにサターンとともに過ごした年月は「大きな喜び」だったとし、「私たちが彼を失望させなかったことを願っている」と付け加えた。(c)AFP