【5月24日 東方新報】中国は21日、1年に1度の「2大会議(全人代と政協会議)」の時期に入った。新型コロナウイルス感染症により、今年の「2大会議」は従来に比べて2か月あまり遅れ、中国の改革開放以来初めてのことだ。この特殊な時期に開かれる「2大会議」にはどんな特殊な議題があるのかまとめてみた。

 第一に感染症の予防抑制。感染状況の好転に伴い、経済的圧力などを受け、多くの国で「再起動」が始まっている。しかし、「再起動」とは経済安定化と感染症対策のバランスを意味している。多くの国はこの中間の「黄金の道」を通ろうと模索している。中国は、最も早く封鎖解除を宣言した国の一つであり、生産や経営再開の面で一定の経験を積んできている。しかし、人類とウイルスの闘いは終わったと言うにはまだ程遠く、北京当局がどのように「持久戦」を進めつつ経済を回復しようとしているか、各国はこの「2大会議」を通し、自国の国情に合った答えを見つけ出そうとしている。

 今回の感染症の発生は、中国の公衆衛生の予防抑制体制、緊急対応体制、医療サービスや戦略的備蓄、野生動物の市場監督などにおける欠陥や問題点をあらわにさせた。世界は中国がどのように体制や制度面から欠陥を補い、緻密で正確で最良の設計を実行していくのかを注目している。これは国民の安全にかかわる問題であるばかりでなく、今後、世界の公衆衛生活動の中でより良い貢献を行う上でも意義あることだ。

 次に経済の復興について。感染症の衝撃を受け、世界の実体経済と金融市場は大きな激動に見舞われている。世界銀行の統計によると、2020年の世界の総生産高は5%縮小するとされている。サプライチェーンの不調、失業者の増加、消費の低迷などは、感染症の影響を受けた各国が遭遇している共通現象だ。06年以来、中国の世界の経済成長に対する貢献率は、10年間連続で世界1位を保っており、世界経済の成長を引っ張る最大のエンジンでもある。感染症の来襲により、中国の2020年1月~3月期における国内総生産は前年同期比で6.8%下降し、数十年来最低の数値となったが、生産経営や商業・教育の回復に伴い、各経済指標は回復の兆しを見せつつあり、中国経済の強靱(きょうじん)性と潜在力をあらわしている。

「2大会議」で示される経済発展に向けた新たな布石と対策は、世界経済がうまく回るかどうかに関わっている。世界経済が迅速に復興を果たす上のキーとなろう。北京当局がどのような処方箋を示し、中国経済にどんな新しい改革がなされるのか、市場開放にどんな新しい施策が行われ、外資はどのようなビジネスチャンスを迎えるのかなどが注目されるところだ。

 最後に外部環境について。世界が未曾有(みぞう)の激動に直面する中、国際秩序と国家間の関係は変わりつつあり、感染症がこの変化を促している。感染症の発生以来、中国は終始、世界的な大局を見据え、国際社会と連携を保ってきた。多くの国際会議に出席し、感染症対策の一環として金銭的支援、物質的支援と人的支援を行い、各国が団結してウイルスに立ち向かうように役割を果たしてきた。アフターウイルスの時代になって、多極化とグローバル化の歩みが逆転するのか、中国はどのように環境の変化に対応するのか、各国と共にどのように新たな問題を解決してゆくのかなどのテーマについて、「2大会議」は近距離で観察する機会となろう。(c)東方新報/AFPBB News