■医療への応用

 英調査会社フューチャーソース・コンサルティング(Futuresource Consulting)のアナリスト、クリス・ペネル(Chris Pennell)氏は、デジタルアシスタント機器の導入が「特に医療、小売業、エンターテインメント産業など、顧客に直接対応する分野で」加速しそうだと予想している。

 一例が、すでに米総合病院メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)で実用化されているツールだ。このツールはアマゾンのアレクサを用いて、患者が自身の症状を評価したりウイルスに関する情報を入手したりすることができる。

 他にも、音声技術の医学的応用が進められている。

 米フロリダ工科大学(Florida Tech)コンピューター工学部教授で音声認識技術を専門とするベトン・ケプスカ(Veton Kepuska)氏は、身体的接触とそれによる感染を抑えるための音声作動式医療ロボットの開発に取り組んでいる。

 新型ウイルスの流行によってこの研究の資金集めに駆り立てられたケプスカ氏は、「このロボットを適所に配置していれば、状況は違っていただろう」と話す。さらにこの研究から、音声対話によって医師や看護師から多くの業務を引き継ぐことが可能な医療用人型ロボットの開発にもつながる可能性があるという。

「新型コロナウイルスのパンデミックは、助けを必要としている人々の元に危険を冒さずにサービスを届ける方法について、検討すべき状況をつくり出している」とケプスカ氏は述べた。(c)AFP/Rob Lever