【5月25日 AFP】人との接触を急に恐れるようになった世界で今、音声技術に新たな目が向けられている。

 グーグル(Google)の「グーグル・アシスタント(Google Assistant)」やアマゾン(Amazon)の「アレクサ(Alexa)」、アップル(Apple)の「シリ(Siri)」などの音声作動式システムは近年安定した成長傾向にあるが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がその成長を加速させるかもしれないとアナリストらは指摘する。

 音声アシスタントは質問に答えたり買い物をしたりするだけではない。新型ウイルスの予防策として個人間の接触が制限されるなか、関心の高まりが予想される医療分野やその他さまざまなビジネスでも応用されている。

 その一つがスマート住宅の制御だ。米調査会社ABIリサーチ(ABI Research)のアナリスト、ジョナサン・コリンズ(Jonathan Collins)氏は「音声はスマート住宅の空間にすでにかなり浸透している。音声で制御することで、スマートフォンからテレビのリモコン、照明スイッチ、温度調節器、ドアノブに至るまで、住宅の中で人がよく触れる表面を触らずに済む」と述べる。

 コリンズ氏は今回のパンデミックによって、「住宅に音声制御を導入する動機とインセンティブが強まり、さらにさまざまなスマート住宅用の機器やアプリに関する認識や採用が促進される」可能性が高いと分析している。

 ABIの推計によると、スマート住宅向け音声制御機器の昨年の出荷台数は1億4100万台に達し、今年は世界全体で30%近い増加が見込まれている。

 コリンズ氏によると、パンデミックの結果として個人間の接触や対面でのやりとりを不要にするために、遠隔操作が可能なスマート錠やスマートインターホン、その他のスマート住宅システムへの関心が高まることが予想されるという。