■難しい「妻選び」

 オスマンさんは最初の妻と2001年に、2人目の妻と2006年に結婚した。2人の妻は、首都クウェート市から40キロ西に位置する、湾岸諸国の遊牧民ベドウィン(Bedouin)が多く住むアルジャフラ(Al-Jahra)で別々の家に住んでいる。

 オスマンさんは世界全体が事実上ほぼ閉鎖されている状況で、両方の妻が疎外感を覚えないように懸命に努力していると述べた。しかし、新型ウイルス感染拡大の防止を目的とした移動制限などによって、自分の時間を二つの家で均等に分けるのに苦慮しているという。

 一方、クウェートのイスラム法学者たちは、ロックダウン中の婚姻のあり方を明確にするのに苦労している。

 クウェート紙アルライ(Al-Rai)によると、同国イスラム問題省傘下のファトワ委員会(Fatwa Committee)で委員を務めるアハマド・クルディ(Ahmad al-Kurdi)氏は、「一夫多妻制の夫婦で、移動規制によって1人の妻の家に住むことを余儀なくされている夫は、他の妻(たち)にそれに同意するか、もしくは(妻の要望に応じて)離婚するかの選択肢を与えなければいけない」と述べた。

 また、同委員会のイーサ・ゼキ(Issa Zeki)氏は同紙に対し、移動制限が解除された後、夫は他の妻の家での滞在を増やすことで、それぞれの妻の家で過ごす日数を等しくし、「埋め合わせ」をすることができると語った。

 ゼキ氏は、移動制限期間にどの妻と過ごすかを簡単に決めたいのなら、妻のうちの1人を無作為に選ぶことを夫に提案している。(c)AFP