【5月21日 AFP】ボリビア当局は20日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に必要な人工呼吸器を同国政府が不当な高値で購入していたことをめぐり、マルセロ・ナバハス(Marcelo Navajas)保健相が汚職の疑いで逮捕されたと明らかにした。これを受け、ナバハス保健相はジェアニネ・アニェス(Jeanine Anez)暫定大統領によって更迭された。

 警察によるとアニェス氏は購入の経緯について捜査を行うよう命じ、その翌日、ナバハス氏が拘束された。また、保健省の職員2人も逮捕された。

 アニェス氏は昨年11月、前職の左派エボ・モラレス(Evo Morales)前大統領が辞任した翌日に暫定大統領に就任。しかし、新型コロナウイルスへの対応で激しい批判を浴びており、今回の保健相逮捕により就任以来最大の汚職スキャンダルに直面している。

 ボリビアは米州開発銀行(IDB)から資金供給を受け、スペインのメーカーから人工呼吸器179台を1台2万7683ドル(約300万円)、総額およそ500万ドル(約5億4000万円)で購入した。

 ところが後日、この会社は通常およそ半額の1台9500〜1万1000ユーロ(約110万円〜130万円)で人工呼吸器を販売していたことが判明。また、取引の仲介は別のスペイン企業が務めていた。

 アニェス氏はツイッター(Twitter)に、ボリビアは人工呼吸器の対価としてすでに200万ドル(約2億1000万円)を送金しているが、「これ以上は1セントたりとも払わない」と投稿。また、今後は「ボリビア国民の税金を取り戻す」ことに全力を尽くすとしている。

 集中治療に当たる医師らが先週末、問題の人工呼吸器はボリビアの集中治療室には適さないと不満を表明し、スキャンダルが表面化した。

 アニェス氏がナバハス氏を更迭したことについて、イサベル・フェルナンデス(Isabel Fernandez)政府報道官は「司法への介入を防ぐため」と説明している。(c)AFP