【5月21日 AFP】日本で昨年12月に保釈中だった日産自動車(Nissan Motor)前会長のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告の国外逃亡を手助けした疑いが持たれている2人の米国人は、前科のある元米軍特殊部隊員と、その息子の元フットボール選手だった。

 マイケル・テイラー(Michael Taylor)容疑者(59)と息子のピーター・テイラー(Peter Taylor)容疑者(27)は、マサチューセッツ州の裕福な小さな町ハーバード(Harvard)で、表向きは米中産階級の典型的な生活を送っていたように見えた。

 だが米検察当局によると、そんな町からこの2人はマイケル容疑者の元米陸軍特殊部隊員(グリーンベレー)としての経験を生かし、ハリウッド映画さながらの大胆な逃亡劇を企てたのだ。

 ゴーン被告は金融商品取引法違反などの罪を問う公判を待つ身だったが、昨年12月29日に日本から逃げ出し、現在はレバノンで逃亡者として暮らしている。

 マイケル容疑者とレバノンとの関係の始まりは、40年前にさかのぼる。

 米メディアによると、マイケル容疑者は1980年代初期に米特殊部隊員としてベイルートに派遣され、1983年に名誉除隊を受けた。現地紙ボストン・グローブ(Boston Globe)によると、その後、民間のセキュリティーコンサルタントとなり、中東全域で事業を行っていた。

 アラビア語も習得し、レバノン人女性と結婚した。

 ボストン・グローブの1月の報道によると、同容疑者は拉致事件のような危険度の高い状況からの脱出を助ける仕事に雇われることが多く、さらに連邦捜査官らのために秘密情報員としても働いていた。

 マイケル容疑者は、行く先々で問題を引き起こしていた。

 地元メディアの報道によると、同容疑者は90年代後半、顧客の別居中の妻が所有する車内に薬物を仕込んだ罪を認めた。

 またボストン・グローブの報道によると、マイケル容疑者は秘密工作中に違法活動に関連した盗聴で、罪に問われたこともある。

 2011年には、国防総省から5400万ドル(約58億円)相当の一連の下請け仕事を得る見返りに金銭を支払ったとして、捜査を受けた。

 米司法省によると、同容疑者は電信詐欺の罪を認め、2015年に禁錮2年の刑を下された。