【5月21日 AFP】白衣やマスクを着用する研究室の世界からは遠く離れて、羽根と葉でできた頭飾りをかぶった先住民族の治療師集団が、新型コロナウイルス感染症を治療する薬用植物を求めてアマゾン(Amazon)川を上っていく。

 小さなモーターボートに乗った先住民族サテレマウェ(Satere-mawe)の男性5人は、ブラジル北西部アマゾナス(Amazonas)州の逼迫(ひっぱく)した医療機関を利用することなく同胞らが生き延びられるよう、手だてを探っている。

 同州は辺地であるにもかかわらず、新型コロナウイルスの世界的な大流行の最も大きな影響を受けている地域の一つとなっている。

「先祖が教えてくれたように、私たちは自分たちの伝統療法で治療してきた」と語るのは、アマゾナス州の州都マナウス(Manaus)から遠く離れた村の出身で、同民族の指導者のアンドレ・サテレマウェ(Andre Satere Mawe)さん。

「私たちはおのおの、受け継いだ知識を使って治療薬を集めては試し、それを病気の異なる症状に対して使ってきた」

 アマゾナス州では感染が急速に拡大し、2万人超が感染、1400人が死亡。病院は患者であふれ、当局は共同墓地の設置を余儀なくされている。

 特に同州の先住民族には、外界から持ち込まれた病気により大勢が犠牲となった悲劇的な歴史があることから、懸念が生じている。

 ブラジル先住民族連合(Brazilian Indigenous Peoples' Association)によると、新型ウイルスは40民族に広がっており、537人が陽性反応を示し、102人が亡くなったという。

 サテレマウェは、抗炎症作用があるカラパナウバの木や、抗マラリア作用がある木の樹皮からつくった茶の他、マンゴーピールやミント、蜂蜜などを「薬」として用いる。

 新型ウイルスにすでに感染したと考えている村人らは、伝統療法は効くと話している。

 映像は17日撮影。(c)AFP/Fernando Crispim Sanches / with Eugenia Logiuratto in Rio de Janeiro