【5月21日 AFP】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が20日に公表した4月28~29日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、新型コロナウイルス流行後に米経済が回復しても、一部の業態の事業は生き延びられない恐れがあるという見通しが示されていたことが分かった。

 議事録によるとFOMCの出席者らは、世界最大の経済大国である米国にとって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の克服は経済立て直しの鍵だが、消費者が通常の行動に戻らなければ米経済が受けた影響の一部は長期化する恐れがあるとしている。

 出席者らは「激震が金融に長期間続く影響を与え、多くの小規模事業者が耐えられない恐れがあると表明した」という。

 さらにソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の要請が緩和されても、特に消費者がある種の経済活動を避けるようになった場合、一部のビジネスモデルは採算が合わなくなるかもしれないとの懸念を示した。

 米国で新型コロナウイルスにより9万人以上が死亡し、3000万人以上が少なくとも一時的に職を失い、失業率が第2次世界大戦(World War II)後最悪に上昇する中、FOMC参加者らは今年第2四半期の米経済は「前例のない」落ち込みを経験するとの見通しを示した。

 FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は今週、国内総生産(GDP)は「容易に」20~30%縮小し、失業率は25%まで上がる恐れがあると述べた。

 飲食店、劇場、スポーツ施設は大勢の客を集めることで経営が成り立っているが、経済活動の再開が新型コロナウイルスの新たな流行につながるとすれば、多くの人は客が密集した状態を避けようとするため、こうした業態は特に影響を受けやすい。

 議事録によると、FOMC参加者らは、「パンデミック(世界的な大流行)が経済に与えた影響は、短期的には経済活動に重くのしかかり、中期的には経済活動に極めて大きな不透明性とかなりのリスクを負わせる」と述べた。

 また、「一時的な解雇が恒久的なものとなる恐れがあり」、「新型コロナウイルス流行の第2波の可能性から、企業がしばらくは新規プロジェクトや従業員の再雇用、新規設備投資に消極的になる恐れがある」としている。(c)AFP