■近年は圧力の弱まりも

 イメンさん(26)は、断食には「世代間のずれ」があると話す。普段チュニスで一人暮らしているが、ラマダン中は沿岸部の町ナブール(Nabeul)で家族と過ごしている。

 イメンさんは断食をやめたことを「打ち明けたい」が、「ロックダウン中でみんなとてもストレスがたまっている」。「(断食をやめたことは)母を傷つけると思う。父は知っているけど、そのことは話さない」と話す。

 チュニジア人はおおむね寛容だが、「ラマダンは特別な期間で、人を断ずる権利を得たような気分になる」とイメンさんは付け加えた。「若者は従来とは違う考え方をしているけど、メディアはそれを反映していない」

 社会的圧力は近年、弱まっていると感じている人もいる。

「父は私が食べていることを知っていたけど、柔軟なので笑ってくれた」とアゼルさん(36)は話す。同僚の前でも普段通りに食べるが、ここ数年は「批判的な目」で見られることが少なくなったと感じるという。

 ファターの創設者、アブドゥルカリム・ベンアブダッラー(AbdelKarim Benabdallah)さんもこれに同意する。

 ラマダン期間に日中食事を取ることは「以前よりも社会的タブーではなくなった」が、それでも断食をしない人の多くは「家族を尊重しており、家で食事をすることはできない」と指摘した。(c)AFP/Oumeima NECHI