【5月20日 AFP】今年1月の総統選で再選された台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は20日、台北で就任式に臨んだ。就任演説では中国政府に対し、民主的な台湾と平和的に共存していく方法を見つけなくてはならないと注文した。一方、中国政府は「いかなる分離活動も決して許さない」との声明を発表した。

 蔡氏は演説で「台湾を矮小(わいしょう)化し、海峡を挟んだ現状を打破するために中国が『一国二制度』を利用することは受け入れない」と述べ、「われわれはこの原則を固く守る」と強調した。

 一方で蔡氏は「長きにわたって共存し、敵対心や相違が深まることを防ぐ方法を模索する義務が台中双方にある」と述べ、中国政府に対話を求める姿勢を改めて示し、習近平(Xi Jinping)国家主席に緊張緩和に向けた協力を呼び掛けた。

 台湾は新型コロナウイルスへの対応で評価を高め、蔡政権は高い支持率を得ている。地理的、経済的に中国と近い位置にありながら、感染者は400人強、死者は7人にとどまっている。

 蔡氏は「新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めに成功したことにより、台湾の名前は世界中のメディアで大きく取り上げられている」と強調した。

 これを受け、中国国務院台湾事務弁公室の馬暁光(Ma Xiaoguang)報道官は「われわれには国家主権と領土保全を守る十分な能力があり、いかなる分離活動や海外勢力の内政干渉も決して許さない」と述べた。(c)AFP