■症状は?

 この新たな疾患は、非常に幼い子どもがかかる川崎病のように、続く発熱、激しい腹痛、発疹、舌の腫れなどの症状が見られる。

 さらにPMISは血管の炎症を引き起こし、一部のケースでは心臓障害に至る。南仏マルセイユ(Marseille)で死亡した9歳の男児は「心停止に伴う神経損傷」があった。つまり、心臓発作だ。

 だがPMISが川崎病と異なっているのは、主としてより年長の子どもがかかる点だ。

 英ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート病院(Great Ormond Street Hospital)の小児感染症科のカリン・モシャル(Karyn Moshal)医長は英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に「われわれが診察している患者は7、8歳から17歳までだ」と語った。

 英国のエバリーナ・ロンドン小児病院(Evelina London Children's Hospital)免疫科のジュリア・ケニー(Julia Kenny)医長によると、同病院ではこの症候群の兆候がある子どもの患者50人以上が治療を受けた。

 ケニー氏はBMJに「綿棒による新型コロナウイルス検査では陽性判定がほとんどなかったのに、ウイルス抗体検査では過半数が陽性だった」と語った。つまり、気付かないままにウイルスには感染していたということだ。

 実際、PMIS症例の急増は、新型ウイルスの感染ピークから数週間遅れて起きているようだ。それが示唆しているのは、ウイルス抗体がPMISの症状を引き起こす役割を担っているらしいということだ。

■罹患する子どもに遺伝的共通点?

 研究者らは、子どもの中でその症候群にかかる子とかからない子がいるのはなぜかを探っている。大人の場合、最大の予測因子は各既往症だが、幼い子どもには当てはまらない。

 昨今の例で浮上した一つの説は、遺伝的な共通点だ。

 ランセットに先々週掲載された研究論文によると、英国の症例では、最初の8人の子どものうち6人はアフリカ系カリブ人をルーツに持っていた。

 フランスで死亡した男児も、主治医によると、アフリカ系だった。(c)AFP/Marlowe HOOD