【5月20日 AFP】エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が率いる中道派与党「共和国前進(LREM)」は19日、左派寄りの議員17人の離党により、国民議会(下院)での単独過半数を失った。政権運営に実質的な影響はないが、苦境に立たされる改革派のマクロン氏にとって打撃となった。

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 離党した17人は新党「環境・民主主義・連帯(EDS)」の結成を発表し、環境保護政策の追求や政治体制の「現代化」、社会の不平等削減を目指すと表明した。

 マクロン氏の創設した新党LREMは2017年の総選挙以降、所属議員が徐々に離党。今回の離反により下院の議席数は288となり、過半数ラインの289を1つ下回った。ただLREMは、協力関係にある小政党の議席を加えれば過半数を確保できるとして、議席損失は「大変動」ではないと強調している。

 マクロン氏は就任以降、相次ぐ政治闘争に直面し、その支持率は変動してきた。2018〜2019年の「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動では、投資銀行出身の同氏が庶民の感覚からかけ離れた考えを持つ富裕層の大統領だと批判する人々が大規模な反政府デモを実施。昨年から今年にかけては同氏の年金制度改革計画をめぐり、同国史上最長となる公共交通機関のストも起きた。(c)AFP