【5月20日 Xinhua News】中国寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の区都、銀川市(Yinchuan)の繁華街では夜の人通りが増えている。タクシー運転手の葉健さん(仮名)は乗客を乗せて通りを走りながら、久しぶりのにぎわいを感じている。

 新型コロナに感染した葉さんがハンドルを握り直してから2カ月がたった。「このあたりは混み合い、以前は通るたびに頭が痛かったが、今は暮らしが素晴らしく、都市が活力を取り戻しているのを実感するばかりだ」と話した。

 これまでに、同自治区など中国の複数の地域が新型コロナの緊急対応レベルを引き下げた。ショッピングセンターやスーパーマーケット、レストランなどの公共の場は通常の営業に戻り、各業界も着実に営業・生産再開を進めている。葉さんと同じように、多くの回復者が家を出て、再び生活への情熱を燃やしている。

 葉さんの妻の王秋さん(仮名)は「隔離を解除された当初、他人の異様な目を心配したが、周囲の人々は皆善意を持って接してくれ、顔を合わせるとあいさつしてくれた。暮らしが通常に戻るのを実感しており、気分が良くなった」と話した。王さんはこのところ毎日、午後には子どもを連れて散歩し、そのついでに野菜を買い、たまには仲のいいほかのお母さんと一緒に街に出たり、子どもと遊んだりしている。

 国家衛生健康委員会のデータによると、現時点で、中国で治療を受けて全快・退院した患者は7万8千人を超えている。中国での新型コロナ対策の常態化に伴い、経済活動の再開は回復者の心理的な回復を加速させている。

 同自治区寧安病院の精神科医、張学輝(Zhang Xuehui)氏は「経済活動の再開は患者らの注意をそらし、自宅待機で生じたいらだちや不眠などの症状を改善している。明るく、おしゃべりになっていると感じる」と指摘した。

 新型コロナ対策の期間に、患者の心理的危機介入を行ってきた張氏はこのところ、患者たちの電話相談の内容が新型コロナ関係から婚姻や親子など家庭に関する話題に変わってきたことに気付いた。

 回復者の楊玉さん(仮名、44)は銀川市にある量販店の販売員で、職場に復帰して2カ月近くたつ。店と家を往復する淡々とした毎日を送っているが、とても安らかだと感じている。「職場に戻る前は、同僚から疎外されるのを恐れ、失業を恐れていた。職場復帰がこれほどスムーズにいくとは思っていなかった。2月は1日も出勤しなかったのに基本給をもらったことは、お返しにより仕事に熱心に取り組もうという励みになった」と話した。

 地元の衛生健康委員会など行政機関のスタッフがしばしば訪問、電話で思いやりと見舞いの気持ちを表し、積極的に就業問題の解決も申し出てくれたことで、楊さんは温もりを感じることができたという。

 暮らしは軌道に戻っているが、今回の経験から、葉さんは生活と生命に対し、新たな考えを持つようになった。労働節(メーデー)連休(今年は5月1~5日)に、2日間仕事を休み家族と一緒に過ごし、「金を稼ぐことはもちろん重要だが、妻や子どもと一緒にいる時間も必要だ。今私は、これまで以上に生活を愛し、現状に満足し楽しく過ごしている」と述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News