【5月19日 AFP】新型コロナウイルスの流行が始まって以来、米マイクロソフト(Microsoft)の共同創業者で慈善活動に熱心なことで知られる富豪のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏を標的にした誤った主張が、インターネット上で増加している。専門家らは、こうした流言飛語は新型ウイルス感染予防対策を妨げる可能性があると警告をしている。

 陰謀論者らが作成した加工写真や偽ニュース記事の中には、ゲイツ氏が新型ウイルス流行の黒幕だと非難するものもある。

 世界保健機関(WHO)は、新型ウイルスによるパニックと混乱が巻き起こしたデマを「インフォデミック」と呼び、対処を続けている。だが、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)対策のために2億5000万ドル(約270億円)の寄付を約束したゲイツ氏は、このインフォデミックの最新の標的になってしまった。

 偽ニュースの研究とジャーナリスト向けの研修を提供する非営利団体「ファースト・ドラフト(First Draft)」の研究部門責任者ローリー・スミス(Rory Smith)氏は、「ビル・ゲイツ氏は常に、ある種の陰謀論者の標的になってきた」と語る。

 ゲイツ氏の「ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)」は過去20年以上にわたり、開発途上国の医療向上のために数十億ドル(数千億円)を投じてきたが、同氏は「抽象的な『ブギーマン(子どもをさらうお化け)』のようなもの」になってしまったと話すのは、米ニューヨークのシラキュース大学(Syracuse University)でデジタル倫理を教えるホイットニー・フィリップス(Whitney Phillips)助教だ。

 ゲイツ氏がワクチン接種とマイクロチップによって「人口の15%を減らすこと」を望んでいると主張するユーチューブ(YouTube)動画は、200万回近く再生されている。