■なぜ台湾の排除が重要なのか?

 台湾および台湾を支持する人々は、特に今回のような大規模な健康上の危機の最中にWHOから2300万人の台湾人を排除することは不公平だと訴える一方で、各国の指導者や医師らは新型ウイルスとの闘いにおいて台湾の専門知識から得るものがあると主張している。

 米国で研修を受けた疫学の専門家でもある台湾の陳建仁(Chen Chien-jen)副総統は14日、記者団に対し、「保健ネットワークの中では、誰一人として孤児として扱われるべきではない」とし、「WHOは政治を重視し過ぎて、機関の専門性と中立性を忘れている」と語った。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権も、WHOが「公衆衛生より政治を優先する」ことを選んだと非難している。

 一方、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、自身の在任中、WHOが中国政府に肩入れし過ぎているという意見を否定している。

■台湾の希望通りに展開する?

 可能性としては非常に低い。WHO加盟国は11日、台湾に対するWHAのオブザーバー資格の付与に関する決定を延期した。

 中国ではなく台湾と国交を結んでいるのは15か国のみで、その大半は中南米と太平洋地域の経済小国だ。WHOに加盟している194の国と地域の中には、あえて中国政府の怒りを買おうとするところはほとんどないだろう。だが、台湾が事実上の主権国家として多くの国に認められることは、台湾政府にとっては勝利であり、中国政府にとっては打撃となる。

 そして、これこそが、新型ウイルスが感染拡大した間に台湾がつかんだ大きな成功だ。

 この数週間で、米国に加えてオーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド政府からも、台湾にWHAのオブザーバー資格を付与するよう求める声が上がり、中国政府の怒りを買っている。(c)AFP/Amber WANG