【5月19日 AFP】18日に開かれた世界保健機関(WHO)の年次総会では、米国がWHOによる新型コロナウイルス対策の「失敗」により多くの命が犠牲になったと非難した一方で、他の加盟国の多くはWHOの対応を称賛した。

 ビデオ会議で行われた総会では、さまざまな国の指導者や保健相が、各国の新型ウイルス対策を統括するWHOの努力を称賛し、WHOへの拠出金増額と支援強化を呼び掛けた。

 だがアレックス・アザー(Alex Azar)米厚生長官は、「われわれは、この流行が制御不能に陥った主要因の一つについて、率直にならなければならない。WHOは、世界が必要としていた情報の入手に失敗し、その失敗により多くの命が犠牲となった」と指摘。WHOの改革と透明性向上が必要だとし、WHOの新型コロナウイルスへの対応の「あらゆる側面」についての独立調査の実施を訴えた。

 一方、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、WHOが「早くから頻繁に警鐘を鳴らしてきた」との見解を改めて表明。国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は「多くの国がWHOの勧告を無視した」と指摘した。

 世界の二大経済国である米中の間では緊張が高まっているが、各加盟国は総会で、新型ウイルスへの効果が期待される治療法やワクチンの公平な分配といった共同の取り組みを定めた決議の採択を目指している。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は、共同の取り組みへの支持を表明。自国が開発するワクチンは、すべての人が利用できるようにすると約束した。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は、いかなるワクチンも「世界の公共財」にならなければいけないと明言。アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相も、ワクチンは「当然ながら、すべての人に手頃な価格で利用可能となるべきだ」と主張した。(c)AFP