■足跡の分析

 足跡はどろどろとした火山泥流の上に残され、その泥流が急速に乾いて地表が固まったとハタラ氏はみる。足跡同士が重なっていないなどの証拠と合わせると、これは一緒に移動していた一団が同時に残した足跡で、異なる時期にさまざまな人が移動してできたものではないことが強く示唆されるという。

 また、足跡の大きさと歩幅に基づき、一団は成人男性4人と成人女性19人、それに少年2人で構成されていたと研究チームは結論付けた。

 足跡からは古代人の身長を推定することもでき、一団の中には比較的身長の高い男性たちがいたことも分かった。183センチの長身の男性もいたと推測される。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系列のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に14日に掲載された論文によると、アフリカ東部で発見されたほぼ同時期の人間の骨格は「一般的に身長が高く、手足の長い体格をしていた」ことを示唆している。

 古代人の一団の男女比は、当時の生活様式についての手掛かりも教えてくれる。

 今日の狩猟採集民族の社会では、食料を探すときを除き、多数の女性が子どもやほぼ同数の成人男性を伴わずに集団で移動することはまれだ。

 足跡の分析によって示された一団の男女比から研究チームは、当時の女性たちもまさに同じだったとの仮説を導いた。

 ハタラ氏は「行動様式そのものは、この時期の人類の集団としては驚くべきものではない」「だが、生のスナップショットを通してその行動様式を目撃する機会は、非常に例外的だ」と述べ、今は仮説でしかないが、発掘作業が進めば最終的にさらに多くのことが明らかになるだろうとの認識を示した。

 発掘現場の片側にある浸食によって露出した足跡は、今も堆積物に覆われた区域へと続いており、さらなる足跡が発見される可能性が見込まれている。(c)AFP/Sara HUSSEIN