【5月28日 AFP】ギリシャ・アクロポリス(Acropolis)の丘のふもとで観光客が多く集まるコウカキ(Koukaki)地区では、新型コロナウイルス対策によるロックダウン(都市封鎖)によって「エアビーアンドビー(Airbnb)」利用客の足が遠のき、ゴロゴロとスーツケースを引く音も途絶えている。

 欧州の多くの首都と同様、アテネの観光業は休止状態にある(26日時点でロックダウン措置は徐々に緩和)。飛行機の便は運休し、レストランや美術館、古代遺跡はすべて閉鎖された。10年間の金融危機から回復をみせていたギリシャ経済にとって大きな打撃となっている。

 コウカキ地区に小さなアパートを構える人々は、再び苦境にあえいでいる。金融危機の間、定期的な収入を得るためにエアビーアンドビーのサービスを利用していた。その一人で、2014年からエアビーアンドビーを利用してアパートを貸し出していたルーミナ・チトー(Romina Tsitou)さんは、「予約が突然入らなくなった」と嘆いた。

「長期賃貸にはしたくはないけど、この状況が長引くと、その必要が出てくるかもしれません」とチトーさんは言う。チトーさんが所有するエアビーアンドビー用のアパート2戸は当面、医療従事者に提供している。

 ステファニア・ディミトロウラ(Stefania Dimitroula)さん(32)は、すでにアパートを長期賃貸用に提供している。

「2018年の初夏からはエアビーアンドビー経由で予約が埋まり、利用者はほとんど外国人観光客だった」とディミトロウラさんは語る。だが今年は、「4月から6月の予約はすべてキャンセルされた」。

 アテネの不動産業者、パトリック・トカチェンコ(Patrick Tkatschenko)氏はAFPに対し、長期賃貸が「大きなトレンド」になりつつあり、「エアビーアンドビーは大打撃を受けている」と語った。