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【5月18日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は13日、カンボジアの刑務所が麻薬取り締まりによって拘束された人々で過密状態になっているとし、うだるような暑さの監房に人々がすし詰めになっている様子を撮影した映像を公開した。

 同団体の報告書によると、薬物違反とされた人々は貧困地区での取り締まりにより拘束されたが法的手続きを経ていないことが多く、これが過密状態につながっているという。首都プノンペン最大の刑務所には現在、9500人が収容されているが、これは本来の収容人数の4倍以上となっている。

 報告書で同団体は、カンボジアは薬物使用を減らすという本来の任務に失敗しただけではなく、深刻かつ体系的な人権侵害を引き起こしていると指摘している。

 アムネスティが公開した映像は秘密裏に持ち出されたもので、刑務所名は分かっていない。上半身裸の人々が床いっぱいに横たわり、他の人にもたれかかりながら寝ようとしている人や、空いている場所を見つけかがみこんでいる人などが映し出されている。

 カンボジアでは2017年初めに反麻薬キャンペーンを開始して以降、刑務所の収容者数が78%増の3万8000人以上と急増した。当局によると、同国で2019年、2万人以上が薬物違反の疑いで逮捕されている。

 カンボジア国家警察の副長官はAFPの取材に対し「刑務所が過密状態なのは明らかだ」としながらも、「逮捕しなければ、薬物使用者や密売人が社会全体にはびこるだろう」と指摘した。

 さらに同副長官は、アムネスティの報告書は「悪い側面だけ」に焦点を当てたものだとし、各省庁が刑務所の状況を改善するため未処理分の裁判を減らす取り組みを実施していると付け加えた。

 映像はアムネスティ・インターナショナル提供。撮影日不明。(c)AFP