反体制派の締め付け強めるエジプト、調査報道サイト編集長を拘束
このニュースをシェア
【5月18日 AFP】エジプト当局は17日、著名な独立系調査報道サイト「マダマスル(Mada Masr)」の編集長を拘束した。同社の弁護士が明らかにした。同国はこのところ、ジャーナリストに対する締め付けを強めている。
マダマスル編集長のリナ・アタラ(Lina Attallah)氏は、首都カイロのトラ刑務所(Tora Prison)前で拘束された。同刑務所に収監されており、最近ハンガーストライキを始めた人権活動家のアラー・アブデル・ファタハ(Alaa Abdel Fattah)氏の母親で、同じく活動家のライラ・スウェイフ(Laila Soueif)氏に対するインタビューを行っていた最中だった。
マダマスルの弁護人がAFPに語ったところによると、刑務所の警備員がアタラ編集長に身分証明書を見せるよう要求した後、3時間にわたって事情聴取を行ったという。
弁護人の話では、アタラ氏はその後、警察署へ連行され、18日朝には検察への出頭が求められた。拘束の理由や容疑は不明のままだという。
マダマスルは、汚職や治安問題を調査するニュースサイトで、アラビア語と英語で運営されている。
同ニュースサイトは数年前から、アブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)政権に批判的な多数のサイトなど、他の数百に上るサイトと同様に、エジプト内でのアクセスが遮断されている。
こうした措置をかいくぐるため、VPNやミラーサイトがよく使用されている。
3月には、エジプトでの新型コロナウイルス感染に関する報道をめぐり、英紙ガーディアン(Guardian)の駐エジプト記者が資格を取り消され、国外退去処分になったと、同紙が報じた。
エジプトでは2013年に故ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領が軍によって解任されて以降、反体制派に対する締め付けが続いており、ジャーナリストが検挙されるケースも増えている。
取り締まりの対象となった人は、イスラム系のモルシ氏支持派に加え、世俗主義の活動家や弁護士、学者など、数千人に上っている。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」によると、同国で収監されているジャーナリストは少なくとも29人いるという。(c)AFP