■秋からの新学期は?

 多くの大学はこれらの訴訟について沈黙を守っている。だが、一部の大学は、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に端を発した前例のない苦境に陥っているとのコメントを出している。

 3月中旬以降、学生の多くがキャンパスから離れている点を考慮して、学生寮の費用を一部払い戻した大学もあるが、授業料の払い戻しに踏み切った大学はない。

 今後、問題はさらに悪化する可能性もある。通常ならば授業再開となる夏の終わりや秋の初めには、どうなるのか? 2000万人の学生は米国のキャンパスに戻ってくるのだろうか?

 キャンパスライフが、まるでウイルス危機などなかったかのように以前の「通常」にすんなりと戻ることは想像しにくい。シャーさんは、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の実施や大量の手指消毒剤が必要になると話し、「学生寮やカフェテリアでは、食料品店で敷かれているのと同じような措置が必要だろう」と続けた。

 今後の見通しについて、カリフォルニア州立大学フラートン校(California State University, Fullerton)のパメラ・オリバー(Pamella Oliver)総長は、「秋の学期はバーチャルになることを想定している」との考えを参加したテレビ討論会で表明している。

 しかし多くの大学にとってバーチャルな状態を続けることは、学生と、米国の悲惨な経済状況下でその学費を負担していることが多い保護者達からのプレッシャーがいっそう強まることを意味する。

 これについてアメリカ教育協議会(American Council on Education)のテッド・ミッチェル(Ted Mitchell)会長は、「多くの学生とその家族の収入は減り、高等教育のために払える金額も減るだろう」と議会への書簡に書いた。

 ミッチェル氏の予想では、来年度の大学入学者数は15%減る見通しだ。これは大学にとって230億ドル(約2兆4800億円)という大きな損失となる。

 ハーバード(Harvard)、エール(Yale)、スタンフォード(Stanford)といった全米トップの大学は莫大な基金を持ち、さらに自由に借り入れができる一方、小規模な教育施設は入学者が減少した場合、破たんする可能性もある。(c)AFP/Camille CAMDESSUS