【5月19日 People’s Daily】新型コロナウイルスの発生源に関するフェイクニュースがネット上で最近伝わり、国際社会が警戒を強めている。世界保健機関(WHO)は先月21日にこうした偏見を再び否定し、ウイルスは実験室で人為的に作成されたものではなく、動物由来であることを示す証拠があると強調した。WHOおよび国際医学界の権威ある専門家・学者は、ウイルスの発生源は科学的な問題であり、政治利用すべきではないとしている。

 WHOのファデラ・シャイーブ(Fadela Chaib)報道官は国連(UN)ジュネーブ事務局で行われた定例記者会見の席上、「WHOは新型コロナウイルスとフェイクニュースという2つの大拡散と戦っている。フェイクニュースの大拡散に警戒し、ウイルス発生源に関するすべての偏見と陰謀論に反対するべきだ。新型コロナウイルスは人工ウイルスではない、これは各方面の共通認識だ。新型コロナウイルスは実験室で人為的に操作や作成されたものではないことは、すべての証拠によって示されている。各方面が現在共に注目すべきは恐怖ではなく、事実であるべきだ。WHOは科学を根拠とし、新型コロナウイルスの調査に加わっている。中国のチームを含む多くのチームと関連活動を展開している」と説明した。

 ウイルスの発生源について、WHOは科学と事実を根拠とするよう何度も呼びかけている。このほど一部の外国の政治家がウイルス発生源の問題を利用し中国に汚名を着せようとしたことについて、WHO健康危機管理プログラムのマイケル・ライアン(Michael Ryan)氏は本紙の取材に対して「地域に汚名を着せる言葉を回避するという、新型コロナウイルスの発生源に関するWHOの立場は非常に明らかだ」と述べた。

 国際社会の多くの医学専門家も、人工ウイルスというたわ言を否定している。仏パスツール研究所(Pasteur Institute)ウイルス・免疫部門責任者のオリビエ・シュバルツ(Olivia Schwarz)氏は、「ウイルスの遺伝図を描くことで、それが自然界由来のウイルスから派生したものだと分かる。これは多くの実験室が発表したウイルスの遺伝子から見て取れる」と述べた。

 ロシアの感染症・微生物学専門家アレクサンダー・セミョーノフ(Alexander Semyonov)氏は、「ウイルスのゲノムシーケンシングを行うことで、研究者はウイルスの発生源が自然か人工かを完全に区別できる。新型コロナウイルスに人為的に遺伝子が添加されたという説は事実と合致しない。実際には、一部の国の無能な衛生システム、または感染対策の過失の隠蔽(いんぺい)を目的としたものだ」と指摘した。

 オーストラリアの科学サイト「サイエンス・アラート(Sceience Alert)」によると、科学者は新型コロナウイルスが人工的に作成されたものではない理由について、何度も粘り強く説明している。自然界のウイルスが人類のパンデミックを引き起こすのは今に始まったことではなく、科学者は早い段階からその可能性を予見していた。オーストラリアのラ・トローブ大学(La Trobe University)の疫学専門家ハッサン・バリー(Hassan Barry)氏は、「いかなるデマも流布せぬよう非常に慎重になるべきだ。世界的な危機を利用し、政治的資本を手にしようとする者に対してはいかなる機会も与えるべきでない」と述べた。(c)People's Daily/AFPBB News