【5月18日 People’s Daily】静電気防止ブレスレットを手首にしっかりつけ、静電気帯電防止手袋を手にしっかりはめ、足には静電気帯電防止作業靴を履いている…こんな具合に「完全武装」した閆東東(Yan Dongdong)さんにとっては、今までにない新しいことを体験している。固定して、切断して、組み立て、検査する…閆さんは生産の現場で意欲的に働いている。

 4月3日、閆さんは安徽省(Anhui)蕪湖市(Wuhu)にある「中達電子(蕪湖)」で働き始めて25日目を迎えた。閆さんはもともと同市の蕪湖方特東方神画観光客センターのセンター長で、プロジェクト接待の責任者だった。新型コロナウイルスの感染拡大中、一部の業界が臨時休業になり、人手が余る一方、一部の業界は雇用ニーズが急増して、人手不足に陥った。そこで蕪湖市人的資源・社会保障局の指導の下、仕事がない閆さんとほかの方特のスタッフ143人は、サービス業から業界の枠を超えて製造業に向かい、「シェアリング社員」になった。

 最近、需給バランスをはかり、企業にかかる圧力を緩和するため、一部の地域が相次いで措置を打ち出し、プラットフォームを構築して、社員シェアリングを模索し、企業の操業再開にエネルギーを注入している。

 閆さんによると、「家で何もしないまま2か月ほどたった頃、会社から中達で人が足りないと聞き、自分から社員シェアリングに申し込んだ。現場の組み立てラインでの作業は、これまで働いていた環境と全然違うので、最初は確かにあまりうまくいかなかった。でも中達が住むところと食事を準備してくれたし、専門的な研修も受けられたので、しばらく手探りをしているうちに、私たち新米はみんな作業をこなせるようになった」という。

 中達にとっては、方特からきたこれらのシェア社員が差し迫った問題をある程度解決したといえる。中達人的資源部の責任者の卞琛琛(Bian Chenchen)さんは社員シェアに手応えを感じており、「感染症の流行中に、製造業はどこも人手が足りず、うちも3月は500人以上が不足した。社員シェアで働く人の収入は増えたし、(シェア社員を送り出す)企業の人件費は抑えられたし、(シェア社員を受け入れる)企業は一時的な人材不足の圧力を緩和できた」と述べた。

 安徽省人的資源・社会保障庁はこのほど「『社員シェアリング』など労働力の余剰・不足の調整作業の全面的推進に関する通知」を通達し、社員シェアリングなどの余剰労働力と不足する労働力のバランスを取るための調整作業を全面的に推進する方針を打ち出した。一方で企業の労働力の余剰リストと不足リストを作成し、また一方で市レベルと省レベルのマッチングプラットフォームを構築し、政策的支援と資金的支援を通じて、人材資源の共有を促進するという。関連の政策に基づいて「救援部隊」を送り出した企業は、毎月社員に支払わなければならない基本給を派遣先の企業に負担してもらえる以外に、状況に応じて補助金も受け取ることができる。

 四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)竜泉駅区(Longquanyi)人的資源・社会保障局は財政局と共同で細則を打ち出し、社員シェアリングに参加する企業に奨励を与えることにした。四川省成都市竜泉駅区人的資源・社会保障局雇用科のスタッフの段明君(Duan Mingjun)さんは、「今年3月、当科で人的資源シェアリングセンターの微官網サイトを開設した。企業がオンラインで社員調整の意思や臨時の人材ニーズを伝えると、プラットフォームは双方の企業の意思を尊重することを前提として、リアルタイム動態型の派遣・マッチングサービスを提供し、社員シェアリングの実現を後押しする」と説明した。

 感染症対策は一部の地域に社員シェアリングモデルの常態化を模索する新たなきっかけを与えた。蕪湖市人的資源・社会保障局就職・社会保障科の陸照海科長は、「文化・娯楽型企業には閑散期と繁忙期があり、たとえば冬に観光客が少なくて、社員が余る時期がある。私たちは文化娯楽型企業の閑散期と繁忙期、製造業企業が人手を必要とするタイミングを整理・把握して、今後も社員シェアモデルが続いてほしいと思っている」と述べた。

 安徽省合肥市(Hefei)の合肥経済技術開発区もシェア社員の長期試行を模索中だ。4月2日現在、同区にはシェア社員が1770人いて、市全体の70%を占めた。同区人的資源センターの鄭静副センター長は、「社員シェアでは産業のマッチングを考えなければならない。同じタイプの産業ならシェア社員はより迅速に新しい仕事に慣れることができる」と述べた。

 安徽大学(Anhui University)法学院の李坤剛(Li Kungang)教授は、「社員シェアモデルは一定の効果を挙げているが、もっと改善が必要だ。人材配置の権限、以前働いていた場所と今働いている場所との待遇差などの問題だけでなく、安全のリスクも考慮しなければならない。時間がたって、社員個人のキャリア形成、昇進などが制度的に保障されれば、社員シェアは常態化へ発展する可能性が高い」と見通しを述べた。(c)People's Daily/AFPBB News