【5月17日 Xinhua News】中国山西省(Shanxi)大同市(Datong)にある雲岡石窟第12窟を等倍複製した3Dプリントがこのほど、浙江省(Zhejiang)内で組み立てを終えた。新型コロナウイルスの影響で延期されていた浙江大学(Zhejiang University)芸術・考古博物館での展示が近く行われることになり、世界巡回への第一歩を踏み出した。

 雲岡石窟は、主要洞窟45カ所と仏像5万9千体以上が現在も残っており、2001年に国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。第12窟は立体彫刻で古代の盛大な音楽演奏の場面が刻まれていることから「音楽窟」とも呼ばれる。

 複製された洞窟は1300以上のモジュールで構成され、組み立て後は幅約12メートル、奥行き約14メートル、高さ約9メートルになる。データ収集の精度は0.03ミリレベルで、完全な石窟の形と構造、本物そっくりの精巧な仏像を再現した。

 雲岡石窟研究院デジタル化室の寧波(Ning Bo)主任は「第12窟の複製は軽い材料で作られ、積み木のように組み立てや分解が可能だ。将来は世界巡回展を行うことで、さらに多くの人が中華文化に触れることができる」と説明。第12窟の3Dプリント複製プロジェクトではデータ収集・処理やモジュールの3Dプリント、色彩復元などが行われ、完成まで3年かかったと述べた。

 雲岡石窟のデジタル化は03年に開始。雲岡石窟研究院が浙江大学や武漢大学(Wuhan University)、北京建築大学(Beijing University of Civil Engineering and Architecture)などと設立した「デジタル雲岡合同実験室」は既に大きな成果を挙げている。

 17年末、雲岡石窟最大の第3窟西後室の等倍3Dプリント複製プロジェクトが山東省(Shandong)青島市(Qingdao)で実施され、高さ10メートルの座仏を展示。18年11月には第18窟の一部が複製され、高さ15.5メートルの立仏が北京市で展示された。第18窟の複製は前者と比べ、組み立てや分解が可能で、展示しやすくなっている。

 デジタル技術を活用することで、雲岡石窟が活性化しただけでなく、3Dデジタルアーカイブやデジタルモニタリングシステムの構築も進んだ。

 同研究院の張焯(Zhang Zhuo)院長は「デジタルプラットフォームは保護、研究、管理、展示を一体化したもので、これにより石窟の現状が全て理解できるだけでなく、文化財の数年後の変化をいち早く把握し、損傷した場合も精度の高い修復が可能になる」と述べた。

 豊富な文化財を有する山西省は、文化財保護のデジタル化を加速させており、文化財保護デジタル化計画の策定や「山西省の不動産文化財デジタル化保護ガイドライン」を打ち出し、重要な国や省の保護文化財、消滅の危機にある彩色壁画のデジタル化収集作業を行っている。(c)Xinhua News/AFPBB News