コロナの陰で死ぬ移民の増加を懸念、地中海の救助活動停止
このニュースをシェア
【5月16日 AFP】欧州諸国は移民の流入増加を受けて港を閉鎖し、人道支援船も救助活動を停止している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が連日大きく報道される一方で、人権活動家らは地中海が見過ごされた「悲劇」の現場になっているのではないかと懸念している。
ここ数週間で欧州に上陸した移民はごくわずかだ。国際機関とNGOは、先週の時点ですべての救助活動が停止されたため、厳しい状況にあると述べている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のバンサン・コシェテル(Vincent Cochetel)特使は、1月以降、179人が地中海地域で亡くなっているとみている。
コシェテル氏は、状況は悪化していると指摘。リビア沿岸部から出発した移民は前年同期比で4倍近くに増え、1月から4月末までに移民が欧州諸国への入国を試みた回数は6629回に上る。同氏によると、チュニジアからの移民の出発も2倍以上になっているという。
「リビアにいる移民の75%がロックダウン(都市封鎖)のあおりで職を失っており、絶望的な事態になる恐れがある」とコシェテル氏は語った。
国際移住機関(IOM)は、「現在の状況では、国際社会の目が届かない所で人知れず難破船が発生している恐れが高まっている」と警鐘を鳴らしている。(c)AFP/Shahzad ABDUL