新型コロナ、真の被害規模示す「超過死亡」 専門家ら注目
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【5月16日 AFP】各国当局の発表に基づくと、世界で新型コロナウイルスにより命を落とした人の数は30万人余りとなっているが、死者数の集計方法によっては真の犠牲者数はこれよりもはるかに多い可能性がある。
当局の統計には新型コロナウイルスが原因とされる死者のみが含まれている。だが専門家らの間では、公式な死因に関係なく今年の全死者数を例年と比較して導かれる「超過死亡」数を調べる動きが広まっている。
超過死亡には新型ウイルスとは直接関連ない死者(新型ウイルス流行に伴う医療崩壊により他の病気の治療を受けられなかった人など)も含まれており、これに注目することで、実際の犠牲者数が公式死者数よりも大幅に多い可能性が浮かび上がる。
今回の新型コロナウイルス危機では、データ集積方法が国によって大きく異なることから、各国の単純比較が困難となっている。
イタリアでは、2月20日~3月31日の期間の新型ウイルスによる死者は1万2428人とされている。だが、過去5年間の平均と比較した同期間の「超過死亡」は2万5354人に上る。
米国ではこの差がさらに大きい。米国での新型ウイルス流行がピークに達する前の3月の超過死亡数は6000人で、新型ウイルスによる公式死者数の3倍以上となっている。
他の欧州諸国と比べ新型ウイルス対策に成功したとされるドイツでさえ、今年3月の超過死亡数は3706人と、新型ウイルスの公式死者数である2218人を上回っている。
一方フランスでは、3月1日~4月27日の新型ウイルスによる公式死者数は2万3291人で、前年と比較した超過死亡数の2万4116人とほぼ一致している。
デンマークの疫学者チームが欧州24か国のデータをまとめている「欧州死亡率モニター(EuroMOMO)」プロジェクトによると、今年3月の死者数は例年と比べ増加していた。
EuroMOMOのプロジェクトコーディネーターを務めるラッセ・ベステルゴーア(Lasse Vestergaard)氏は「超過死亡を説明できるものは(新型ウイルスの)他にはない。これが1月なら、一部はインフルエンザによるものと説明できるかもしれない。それに、欧州では火山の噴火や、地震も発生していない」と語った。
EuroMOMOのデータによると、3~4月に大きな超過死亡があったのはスペイン、イタリア、フランス、そして英国の4か国。一方、新型ウイルスによる深刻な被害を免れているノルウェーやフィンランドでは大きな超過死亡はなかった。(c)AFP/Pierre DONADIEU