【5月15日 AFP】南米チリで、一時は「ピークを越えた」とみられていた新型コロナウイルス感染者数がここにきて急増している。政府は人口約700万人の首都圏を対象に、15日から強制的かつ「完全」なロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表。首都サンティアゴの主要墓地では、約2000人分の墓穴を掘る作業が進んでいるという。

 これまで1日当たり350~500人だった新規感染者数は、先週末になってにわかに急増。13日までの24時間では2600人の新規感染者が確認され、14日にもほぼ同数の報告があった。

 ハイメ・マニャリッチ(Jaime Manalich)保健相は13日、「最も深刻な措置を発表しなければならない。サンティアゴ首都圏の完全隔離だ」と述べた。国内では3万4000人超の感染が確認されているが、このうち80%が首都圏に集中している。

 ロックダウンは15日午後10時(日本時間16日午前11時)から施行され、食料品や医薬品の買い出しなど必要不可欠な理由を除き、外出は禁止される。

 チリの新型コロナ対策はこれまで、感染例の集中する地区のみを隔離対象としていた。サンティアゴなど複数の都市で夜間外出禁止令が出てはいたが、都市全体のロックダウンは行っていなかった。

 また、チリは新型コロナ検査の実施件数でも人口比で中南米最多を誇り、1日当たり1万4000件を処理。これまでの累計検査件数は約20万件に上る。

 今回の措置では、いったん隔離対象となり後に制限が解除された複数の地区もロックダウンの対象となっている。 

 政府は先に、1日当たりの新規感染者数が500人前後で推移しているとして、流行は「ピークを越えた」との見方を示していた。しかし、その直後の5月初旬に医療関係者が感染者数の増加を報告。さらに数日後には、当局者の口から「サンティアゴの闘い」という言葉が出るようになっていた。(c)AFP