【5月15日 AFP】オーストリア政府の要請を受けて、ルーマニアは西部のティミショアラ(Timisoara)と、約500キロ離れたオーストリアの首都ウィーンとを結ぶ夜行列車の運行を承認した。オーストリアへ介護士らを送るためだ。

 オーストリアでは約6万5000人の介護士が働いており、うち80%はルーマニアとスロバキアの女性たちだ。そのため新型コロナウイルスの感染拡大の抑止を目的として3月中旬に欧州各国の国境が封鎖されて以来、オーストリアで介護を必要とする多くの人々が苦境に立たされていた。

 ルーマニア人の介護士コルネリア・ワイズ(Cornelia Weisz)さん(42)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による国境封鎖にもかかわらず運行されることになった特別な夜行列車のおかげで11日、ウィーンに到着した。オーストリアでの仕事を再開するまで2か月以上かかった。

 バッグにはルーマニアに残してきた2人の子どもの写真が入っている。ウィーンで働く動機は「もちろん給料です。ルーマニアで手にできるよりも5倍は高い」と彼女はAFPに語った。

 ワイズさんはオーストリアの西部チロル(Tyrol)州で4週間にわたって、高齢の糖尿病患者の介護をする予定だ。

 映像は介護士らを乗せてルーマニアを出発する夜行列車、10日撮影。(c)AFP/Mihaela RODINA/Ionut IORDACHESCU