【5月17日 CNS】中国・浙江省(Zhejiang)森林資源監測中心科学考査チームと、仙居県(Xianju)国立公園スタッフは9日、括蒼山(Kuocangshan)の自然保護区でミミセンザンコウを赤外線カメラで撮影したと発表した。近年ほとんど確認されていなかった野生のミミセンザンコウを発見したことで、今も小さな群れが存在することが証明された。

 ミミセンザンコウは爬虫(はちゅう)類のようなウロコをまとった珍しい哺乳類。中国では、その肉とウロコを狙った密漁が相次ぎ、絶滅が危惧されている。

 国際自然保護連合(IUCN)は2014年にミミセンザンコウを「極度の絶滅危惧種」にリストアップ。 2016年にはワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、CITES)で、世界で8種類のセンザンコウが附属書Ⅱ(商業取引の規制)から附属書Ⅰ(商業取引の禁止)に移行され、すべてのセンザンコウと製品の国際商業取引が完全に禁止となった。

 完全な統計ではないが、1960年代から現在にかけて、中国の野生のセンザンコウは88〜94%減少したとされる。国内で新たに発見される例は非常に少なく、その大半は保護されたケース。この20年間で野生の痕跡はほとんど確認されておらず、今回、野生の状態で影像が記録されたことは極めて貴重だ。地元住民や行政が野生動物の生息地の保護に努めた成果といえる。

 仙居県国立公園の関係担当者は「ミミセンザンコウはかつて多くの地域で生息していたが、人間の欲望と環境破壊のため絶滅寸前に追いやられている」と説明。センザンコウの生活環境保護や国内外の密輸活動の取り締まり、センザンコウを使った製品の使用拒否を呼びかけている。(c)CNS/JCM/AFPBB News