【5月14日 AFP】フランスの製薬大手サノフィ(Sanofi)のポール・ハドソン(Paul Hudson)最高経営責任者(CEO)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの供給先として米国市場を優先すると発言したことを受け、フランス政府は14日、米国第一でワクチンを確保することは「受け入れ難い」と難色を示した。

 アニエス・パニエリュナシェ(Agnes Pannier-Runacher)経済・財務相付副大臣は仏シュド・ラジオ(Sud Radio)に対し、「もうけを理由にある国へ特権的なアクセスを与えるのは、われわれにとって受け入れ難いことだ」と述べた。

 英国人のハドソン氏は13日、サノフィの取り組みによってワクチン開発が成功した場合、米国が「リスクを取って」同社に投資しているとして、最初に米政府にワクチンを供給する意向を示した。米国は今年に入り、サノフィとワクチン開発に関するパートナーシップを拡大していた。

 サノフィは4月、新型コロナウイルスのワクチン開発に向けて英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)と提携。しかし、臨床試験はまだ開始されておらず、成果が確認されるのは早くとも来年末とみられている。

 この2社によるワクチン開発プロジェクトは、米保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)から一部資金提供を受けている。

 ただ、近年サノフィはフランス政府から巨額の試験研究費税額控除を受けており、ハドソン氏の発言をめぐってはフランスの健康協同組合などから非難の声が上がっている。(c)AFP