【5月15日 AFP】パンは「男性」、ビールは「女性」──フランス語では、あらゆる名詞に「性別」がある。新型コロナウイルスと、それが引き起こす感染症も例外ではない。

 フランス語の保護活動で知られる仏国立学術団体アカデミー・フランセーズ(Academie Francaise)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は女性名詞であり、定冠詞は「ル(le)」ではなく「ラ(la)」を使うべきだとする指針をウェブサイトに発表した。

 アカデミー・フランセーズは「誤用」についてまとめたサイト内のページで、「le COVID-19」という男性名詞扱いがフランスのメディアや一般の人々の間に広がっていることに遺憾の意を表明。「女性名詞の使用が好ましい」「本来の性別に戻すのに、遅すぎることはないだろう」と述べた。

 この誤用は、新型コロナウイルスが男性名詞である点に引きずられた結果だとアカデミー・フランセーズは指摘。「COVID」は新型コロナウイルス感染症(CoronaVirus Disease)の頭字語であり、頭字語の性別は中核となる単語によって決まるが、この場合は「Disease(病気)」がそれに当たり、フランス語で病気は女性名詞だと説明している。

 なお、世界保健機関(WHO)は一貫してCOVID-19を女性名詞として扱っており、カナダ政府やジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相、カナダのメディアも女性名詞を用いている。(c)AFP