■人体への影響を確認

 遠紫外線C波が人体に無害であることを確認するための実験も並行して実施されている。マウスを使った実験は、遠紫外線C波に「人への使用を想定した強度の20倍の強さで1日に8時間、週に5日間」暴露させるもので、現時点で開始から40週が経過した。

 現状を確認するためにマウスの目や皮膚を検査したところ、「何一つ異常はなかった。マウスは非常に調子が良さそうで、しかも非常にかわいらしい」と、結果についてブレナー所長は話した。この実験は今後さらに20週間続く予定だという。

 研究の次段階では、感染者がせきやくしゃみをした時を想定し、空中を漂うウイルスにUVCランプを放射する実験を行う計画だ。

 チームは、予備段階の研究結果を英科学誌ネイチャー(Nature)にすでに投稿している。ただ、残りの検証段階をすべて通過して初めてその正当性が科学界でも認められることになる。

■危機回避の可能性はあった

 ブレナー所長は、「この遠紫外線C波の研究プロジェクトをもう1年か2年早く始めていたら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機を回避できたかもしれない。毎晩、そのようなことを考えている」と話す。そして、研究が進むなかで、夜眠ることができなくなってしまったことを明らかにした。

「完全に(防げた)ということではないが、おそらくパンデミックは回避できただろう」 (c)AFP/Catherine TRIOMPHE