【5月15日 CNS】中国の瑞金医院(Ruijin Hospital)内分泌科が率いる「ChinaMAP(中国代謝解析計画)」連盟は先月30日、全土29の研究機関と病院と共に、上海生命科学研究院(SIBS)が発行する雑誌「セル・リサーチ(Cell Research)」上で、全国27省・市と8民族、1万人を超える高深度の全遺伝子配列データと表現型(ひょうげんがた)の系統性分析に関する報告書を初めて発表した。

 研究チームは中国の異なる地域と異なる民族を代表する1万588人のDNAサンプルに対し、40×深度ゲノム配列測定(WGS)を行い、高レベルな中国の集団別遺伝変異データを作成し、中国人の遺伝学的なグルーピングの構造分析、ゲノムの特徴比較と変異スペクトラムと病原性変異の解析を行った。

 この研究は、中国の7大地域を対象とし、人口のトップ10の漢族、チョワン族、回族、満州族、ミャオ族、イ族、チベット族と蒙古族を網羅し、中国人の地理的な差異と異なる民族が持つ遺伝的背景の多様性と複雑さを現している。

 研究チームは史上初めて、漢族には7つの異なるサブグループがあり、北方漢族、西北漢族、東部漢族、中部漢族、南方漢族、東南漢族と岭南漢族に分かれていることを示した。

 少数民族の中では、チベット族、イ族、蒙古族、ミャオ族、チョワン族にはいずれも独特な種族としての特徴があり、遺伝的な近似性は、満州族と北方漢族は近く、回族と西北、北方漢族も近い。異なる地域の種族が持つ変異特性は、歴史上の民族移動とも関係している。例えば「河西走廊」は、シルクロードの中の異なる民族が行き交った交通の要衝で、歴史上、ソグド人(sogd)などを含む多種の民族がこの地に住み交易をしていた。

 瑞金医院内分泌科の王衛慶(Wang Weiqing)教授によると「ChinaMAP」の第一期データベースの中には、1億3600万個の一塩基多型(SNP)遺伝子座と1000万個の挿入欠失(Indel)遺伝子座が含まれており、その半分は国際的に使われているデータベースの中には見られない新しい遺伝子座だ。

 多くの遺伝性疾患は遺伝暗号(コドン)の中に書かれている。疾病と関連する変異座位は中国の集団と欧米の集団間で異なるため、中国における遺伝カウンセリングと解読は、中国人自身のラージサンプルと高レベルなデータに基づく必要があるとしている。

 この研究は、世界のその他の種族と比較し、中国人の遺伝特性は欧州、アフリカ、南アジアとラテンアメリカの人々との間に大きな差異があり、アフリカ人との距離が一番大きく、東アジア人とは非常に似ていることを示している。(c)CNS/JCM/AFPBB News