【5月13日 AFP】エジプトの首都カイロ在住の猛獣使い、アシュラフ・ヘルワ(Ashraf al-Helw)さん(26)は、自宅の居間でライオンを調教する様子をインターネットで配信している。

 エジプト政府は3月以降、新型コロナウイルスの流行を防ぐ措置として、サーカスを含む娯楽施設を閉鎖。このため同国で3代続く有名な猛獣使い一家の一員であるヘルワさんは、雌ライオンのジュマナを週2回、数時間だけ自宅に連れて来ることにした。

 インスタグラム(Instagram)とフェイスブック(Facebook)で先月配信されたヘルワさんの最初のオンラインショーは、自宅に閉じこもっている多くの人を引きつけた。

 ヘルワさん一家はこのオンラインショーで収入を取り戻し、30人の従業員の給料や40匹のライオンやトラの餌代に当てたいと考えている。

「エジプトの人たちはサーカスが好きなので、商売は常に順調だった」「しかし、コロナウイルス以降、すべてが止まってしまった」とヘルワさんは語る。

 ヘルワさんの祖母は、アラブ人女性として中東初の猛獣使いで、「鉄の女性」として知られていた。また祖父は1978年、ライブショーの最中にライオンに襲われ亡くなっている。

 しかし、ヘルワさん一家は猛獣使いの仕事を続けている。きょうだい4人も全員猛獣使いだ。

 ジュマナは普段、カイロ郊外の公園におり、SUV(スポーツ用多目的車)の後ろに積んだ鉄のおりに入れて、自宅まで移送するという。

 ヘルワさんはこれまでにも、子どものライオンを連れ帰ることはあったが、成体のライオンを連れて来たのは今回が初めて。「ジュマナを家に連れて来るのは、人々を楽しませたい、その一心だ」と話している。(c)AFP/Emmanuel Parisse