【5月13日 AFP】米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は12日、上院の公聴会で証言し、米国が新型コロナウイルス流行終息に向けた取り組みを進める中で、対策として講じられているロックダウン(都市封鎖)を性急に解除すれば、新たな感染拡大などの深刻な影響をもたらす恐れがあると警告した。

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 ファウチ氏は、連邦政府は全米各地の当局が経済活動を安全に再開するためのガイドラインを既に策定しており、新規感染者数の14日連続減少が再開に向けた重要な第一歩となると説明。「地域社会や州、地方の当局がこれらのガイドラインに従わず(経済活動を)再開すれば……影響は非常に深刻なものになる恐れがある」と述べた。

 ファウチ氏は、米国での新型ウイルスによる死者数の実態は政府の公式死者数である約8万人より多い可能性が高いことを認め、その理由として、流行中心地であるニューヨーク州などで多くの人が病院に搬送されることなく自宅で亡くなったことを挙げた。

 同氏は一方で、新型ウイルスのワクチン開発について、現在8つの候補の臨床試験が行われていることから「慎重ながらも楽観的」だと述べた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、経済活動の再開を急ぐ一方で新型ウイルスの危険性を軽視していると批判されており、ファウチ氏の率直な姿勢に対して不満を募らせているとの臆測が頻繁に出ている。(c)AFP/Issam AHMED