【5月14日 東方新報】中国インターネット情報センター(CNNIC)が先月28日に発表した「第45回中国インターネット発展状況統計報告」によると、2020年3月までに中国のインターネットユーザー数は約9億400万人となり、ネット普及率は64.5%となった。2018年末より7508万人増え、9億人の大台に突入。そのうちスマートフォン・携帯電話を利用するインターネットユーザーは8億9700万人で、ネットユーザーの99.3%を占め、2018年末よりも0.7ポイント上昇した。新型コロナウイルス肺炎のまん延による厳しい移動制限により、インターネット活用はショッピングやビジネスのみならず、地方行政政務や教育、娯楽とその活用の幅が一気に広がっている。

 報告によれば、目下のインターネット発展には三つの特徴がある。一つは「新基建」と呼ばれるハイテクインフラ建設政策の推進により産業構造のレベルアップが進んだことが反映されている。全国的に大規模な光ファイバーおよび移動通信ネットワークが2019年にすでに出来上がり、農村部にも光ファイバーと4Gの普及率が98%を超え、ブロードバンドを導入している世帯も4.5億世帯を超えている。ハイテク産業や科学研究イノベーション、スマートシティーといった「新基建」がらみの建設が加速しており、あらたな産業形態と需要を伴う経済モデルを生み出していることがある。

 次に、ネットショッピングが消費市場の新たな台頭を後押ししている点だ。2020年3月までにネットショッピングユーザーの規模は7億1000万人となり2019年の取引規模は10.63兆元(約161兆円)規模、前年比16.5%となった。電子商務管理プラットフォームを通じた海外との取引も1862.1億元(約2兆8191億円)をこえ、前年比38.3%増となった。デジタル企業が商業モデルのイノベーションを起こし、サプライチェーンのデジタルレベルを引き上げている。

 三つ目に、ネットを通じた庶民の貧困脱却が進んでいる。微信(ウィーチャット、WeChat)や動画、ライブアプリなどと庶民生活が結びついたことで、ネット利用のハードルが低くなり、文化・娯楽生活が豊かになっただけでなく、こうしたアプリをつかったネットショッピングや公益活動などが、農民の増収や生活改善につながり、大勢のネットユーザーが貧困脱却への積極的な行動への参与を促し、重要な影響力を日増しに発揮している。

 新型コロナウイルス肺炎による都市封鎖で、特に注目されるようになったのは、オンライン教育・オンライン授業の分野で、この分野のユーザーは4億2300万人。2018年末から110.2%増と2倍以上に膨らんでいる。特に2020年1月からは中国全土の学校が全面的に休校措置をとったことで、2億5600万人が普遍的にオンライン授業に参加するようになった。

 だがこうした便利な半面、懸念されることもある。ネットユーザーの72.4%が月収5000元(約7万5697円)以下であり、ネットに頼って生活している大多数の人々が中低層社会に属するということだ。いわゆる生活苦からネットに逃げ込む「ネット廃人」と呼ばれる社会的病も存在する。またネット上でも、少数の富裕層が大多数の貧困層から富を吸い上げるという構造自体に大きな変化はない。ネットが便利になり簡単になるほど、教育水準の低い社会層も努力せずに手軽に知識やモノを得られることに慣れ、深く考える習慣を持たずにネットに操られ、最終的には搾取されるという「烏合(うごう)の衆」に陥るというリスクがあると警告する専門家もいる。(c)東方新報/AFPBB News