■「自分は孤独な女性」

「自分は世界を旅する孤独な女性」で、「いつも格安チケットを探している」というイッボウは、アルジェリアの一若手選手として自身が直面している困難として、施設が不足していること、海外の指導者がいないこと、プロの大会がないこと、プロキャリアの築き方に関して助言が何も得られないこと、そして政府から「一銭」も援助がないことなどを列挙し、「スポンサーですって?」「アルジェリアには、そんなもの存在すらしない」と訴えた。

 前週には男子プロテニス協会(ATP)、女子テニス協会(WTA)、国際テニス連盟(ITF)、そして各四大大会(グランドスラム)は共同で、新型コロナウイルスで困難に直面している選手を救済するプログラムを立ち上げ、600万ドル(約6億4000万円)以上の資金を集めたと発表した。

 イッボウは、「選手の救済は、この競技の生き残りにつながる」とすると、ティエムに対して直接的に、「あなたに求めているのは、ほんの少しの配慮だけ」とつづった。

 ティエムからの返信はまだないものの、他の選手からは反応があり、ヴィーナスは自身のインスタグラム(Instagram)アカウントに、「あなたは私のヒーロー」と投稿。すでに先日ティエムを批判していたニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は、「リスペクト」の文字と顔文字を付け加え、イッボウの感謝に対して支援を約束した。

 母国への批判もほのめかすようなイッボウの発言には、アルジェリア政府からも反応があり、10日にはアブデルマジド・テブン(Abdelmadjid Tebboune)大統領が、「アルジェリアはイネス・イッボウのようなスポーツ選手を失うことはできない」とツイートした。

 さらに11日には、同国のスポーツ相がフェイスブック(Facebook)で、現在チュニジアに滞在しているイッボウに電話をかけ、「政府として彼女を支援する用意があると確約した」と明かした。(c)AFP