【5月12日 AFP】新型コロナウイルスの影響でスタートが遅れている米大リーグ(MLB)の2020年シーズンについて、球団オーナー側は7月上旬に無観客で開幕する提案を承認したと、同国の複数メディアが11日に伝えた。

 MLBの活動は、オープン戦が行われていた2か月前に中断。2020年シーズンの試合数は通常の半減となる82試合が提案されており、今後は選手会(MLBPA)の承認が必要になる。

 米スポーツ専門チャンネルESPNをはじめ、同国紙USAトゥデー(USA Today)、同国ウェブサイトのジ・アスレチック(The Athletic)、そして同国NBCスポーツ(NBC Sports)によると、交渉は12日に開始される見通しであるという。

 米国では現在プロバスケットボール(NBA)、メジャーリーグサッカー(MLS)、北米アイスホッケーリーグ(NHL)が中断されており、再開計画の正式な提案は同国主要スポーツリーグでMLBが初となる。

 キャンプ再開は6月中旬から約3週間の予定で、場所は各チームの本拠地もしくは外出制限が緩和されているフロリダ州とアリゾナ州のキャンプ地が提案されている。

 今季のレギュラーシーズンは7月1日から4日にかけて開幕し、プレーオフ終了の時期は11月上旬で例年よりわずかに遅れるだけの見通し。また、プレーオフの出場枠は両リーグでワイルドカードが二つずつ追加され、これまでの計10チームから計14チームに拡大することが検討されている。

 移動や費用を最小限に抑えるべく、各チームは同地区内での試合が大半になり、インターリーグに関しても同じ地区で対戦カードが組まれるとみられている。また、ア・リーグでは数十年前から導入されている指名打者(DH)制に関して、ナ・リーグでも史上初めて採用される方針が示された。

 各球団は州政府や地元自治体の許可を得て本拠地の球場でプレーする一方で、ホームスタジアムの使用許可が下りない場合は、春季キャンプのトレーニング施設で試合を行うことになる。

 カナダを本拠地とするトロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)は国境越えの問題が生じるため、フロリダ州にあるチームのトレーニング施設でのプレーを余儀なくされる可能性がある。

 一方、観戦チケットの売り上げがなくなればリーグの今季の収入は40パーセント減になる見通しで、オーナー側は米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)やNBAと同様に、収益の分配率を50-50にする道を模索していると報じられた。

 この動きは、シーズン短縮の影響で給与が半減する選手にとっては死活問題であり、現行の労使協定が2021年12月に期限を迎える中で、オーナー側が新たな労使協定に向けてサラリーキャップ制度を推し進めることが懸念されるかもしれない。

 MLBではこれまで球団オーナーが選手に対して余得の分配を申し出たことは一度もないため、今回は選手会側がオーナー側と損失を分け合うことに猛反発すると予想されている。(c)AFP