【5月15日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領によるスピーチ、モータースポーツ用サーキットでのイベント、そして自宅リビングルームのワイルドなライブストリーミングパーティー──。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により伝統的な卒業式ができなくなった米国では、高校生や大学生の卒業を祝おうと、クリエーティブなアイデアがたくさん生まれている。

 米国では高校や大学の卒業式が「結婚式や出産と同じくらい重要」で、多くが待ち望む通過儀礼だ。そう説明するのは、オハイオ州立大学(Ohio State University)の医学部で4年を過ごしたトレント・ジョンソン(Trent Johnson)さん(29)。パンデミックのために卒業式を中止するとのメールを大学から受け取ったときは、すっかり打ちのめされてしまったという。

 家族の中で大学の学位を取得したのは、ジョンソンさんが初めてだった。「とにかく傷ついた。ベッドで横になって泣いた」

 だが、フロリダ州オーランド(Orlando)に住む母親は、ジョンソンさんの卒業ができるだけ特別なものになるよう家族みんなで最善を尽くすと約束し、自宅の壁に2枚の赤いテーブルクロスと「2020年」と書かれた金色の風船を飾った。そして音楽をかけ、息子の卒業を祝ったのだ。

 お祝いイベントの様子は、ジョンソンさんの友人によって複数のSNSでライブ配信された。この友人の計らいにより、親戚や友人らも卒業式用のアカデミックガウンと角帽を身に着けたジョンソンさんの姿をしっかりと見ることができた。

「卒業式」とその後2時間に及んだお祝いのダンスを捉えた映像は、同じ境遇にある卒業生たちの間で人気となり、ツイッター(Twitter)でのリツイート数は数十万回に達した。

「この動画がきっかけになって、他の卒業生も自らが達成したことを祝ってくれたらと思う。それが親のリビングルームからであってもね。こうした卒業の仕方は、僕たちの歩みを否定するものじゃない」とジョンソンさんは語った。