【5月11日 People’s Daily】近頃、中国・重慶(Chongqing)の市民を驚かすことが起きた。世界文化遺産大足石刻景観区がショット動画アプリ「快手(Kuaishou)」で生放送を決行しているのだ。職員のレンズの後について、大足石刻の「クラウド見学」に行き、美しく古い石像を見ることができる。2日間で計3回の生放送を見た人は、合計1000万人を超えるという。

 千数百年の風雨にさらされた石窟芸術を楽しんでもらうため、石刻にはたゆまぬ保護が必要である。長年、大足区(Dazu)は積極的に石刻保護の仕事をこなしてきた。宝頂山千手観音は800年以上の歴史があり、大足石刻の宝であり、その修復は国家文化財保護プロジェクトに指定された。修復が完成したのは2015年である。

 修復の過程で、一人の「文化財の医者」が重要な貢献を果たした。大足石刻研究院(Dazu Rock Carvings research institute)文化財保護プロジェクトセンターの陳卉麗(Chen Huili)主任である。修復チームのリーダーであり、彼女は7年間修復に参与し、他の石刻保護にも参考となるような文化財損傷診断法をまとめた。

 また、2017年から、大足石刻は3D測量とデータ化の工程を始め、測量は9割以上の彫像に及んだ。「3D測量はレーザースキャンを行い、石刻彫像の修復前のデータを残すことができ、修復に根拠を与えるのです」。陳氏によれば、これによって復元を行う際に修復の専門家にサンプルデータを提供し、遠隔で診療を行うことも可能となったという。

 2019年12月には、大足石刻は監視測定早期警戒システムを投入した。大足石刻研究院監視測定センターに入ると、大型LEDスクリーンに各リアルタイムデータと分析図が映し出され、温度や微小環境、岩体の安定性など70項目が示されている。洞窟内で傾斜や温度の異常があれば、職員がすぐに発見し、対策をとることができる。

「監視測定早期警戒システムは聴診器にあたり、われわれのリアルタイム検査を助け、『健康診断報告』の作成を助けるものです」と陳卉麗氏は言う。石刻の保護が良好であれば、開発利用の基礎にもなる。近年、大足石刻景観区は積極的に革新を行い、技術発展を活用し、多くのミュージアムグッズを創作し、景観区の文化と観光の発展を助けている。

 大足区は積極的に町と景観区の融合を推進し、国際観光都市を築こうとしている。具体的には、大足区の人文・自然・温泉など観光資源をつなげ、沿線の美しい村々を充実させ、景観と都市の有機的な融合を図り、観光ルートを開拓して、さらに多くの観光客を引きつけている。

 去年、大足は石刻文化創造村を開き、居住プロジェクトによって20人以上の工芸美術師を招き入れ、立体芸術産業基地を建造した。

「石は冷たいが、文化は温かい。我々が彫像や碑を刻むことで石は生きてくるのだ」と大足区幹部の于会文(Yu Huiwen)氏は語る。目下、大足区は大足石刻を重点施設として、文化振興区を堅持し、経済社会の全面的発展をもたらそうとしている。(c)People's Daily/AFPBB News