【5月11日 AFP】オーストラリア・メルボルンで10日、ロックダウン(都市封鎖)に反対する抗議デモが行われ、10人が逮捕された他、警官1人が負傷した。抗議デモの参加者は、新型コロナウイルスは国民を統制する目的で政府が仕組んだ陰謀だと主張している。

 市内のビクトリア(Victoria)州議会前に集まった約150人のデモ参加者は、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために実施されている封鎖措置に抗議し、新型ウイルスに関する数々の陰謀論を展開した。

 オーストラリアでは大半の州と地域で制限の緩和が始まったものの、ビクトリア州では、メルボルンにある食肉処理場で起きた集団感染により新規感染者数が急増したことを受けて、緩和が遅れている。

 米国でのデモを想起させる抗議活動の参加者は、「自由と権利のために闘う」と書かれたプラカードを掲げ、怒りの矛先を米マイクロソフト(Microsoft)の共同創業者、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏に向けながら、「ビル・ゲイツを逮捕しろ」と叫んだ。

 参加者の一人である37歳の男性は、政府が新型コロナウイルスの流行をパンデミック(世界的な大流行)と宣言していることに疑問を呈し、政府が国民に対する統制をさらに強めるための偽装だと思うと説明。

 AFPに対し、「もしこの事態が、彼ら(政府)の言うところの半分でも致命的なものだとしたら、ロックダウンの命令があっても人口の半分が今も活動している中、この事態はオーストラリア中に山火事のように広がっただろうし、止めることはできなかっただろう」と語った。

 ビクトリア州警察の報道担当者によると、この抗議集会で10人が逮捕されたものの、大半はソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と外出制限に違反したためだったという。

 豪連邦政府の最高医務責任者であるブレンダン・マーフィー(Brendan Murphy)氏は、新型ウイルスが次世代通信規格「5G」に関連しているといった「非常にばかげたデマが出回ってる」と指摘。

「嘆かわしいことに私自身、こうした陰謀論者からたくさんのメッセージを受け取っている。本当にナンセンスだ。5Gはコロナウイルスと何の関係もない」と述べた。(c)AFP