【5月10日 AFP】元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏から世界最高と称された元サッカー選手、トマス・カルロビッチ(Tomas Carlovich)氏のお別れ会が9日、ロサリオ(Rosario)のサッカースタジアムで行われ、多くのサポーターが哀悼の意を表した。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)でロックダウン(都市封鎖)の措置が取られる中、サポーターたちはカルロビッチ氏が名をはせたセントラル・コルドバ(Central Cordoba)のクラブカラーである青と赤のマスクをつけてエスタディオ・ガビーノ・ソサ(Estadio Gabino Sosa)に詰めかけ、マラドーナ氏が自身よりも優れているとみなしたカルロビッチ氏に別れを告げた。

 カルロビッチ氏は8日、強盗に襲われた際に頭部を打ち、74歳でこの世を去った。その死はアルゼンチンのサッカー界、特に同国代表リオネル・メッシ(Lionel Messi)の生まれ故郷であるロサリオに衝撃をもたらした。

 ひつぎがピッチ中央に運ばれて芝の上に配されると、その上にサッカーボールが置かれ、最後の別れが告げられた。

 名声を避け、小さなクラブでプレーすることを好んだカルロビッチ氏は、マラドーナ氏から高い評価を受け、1970年代にはニューヨーク・コスモス(New York Cosmos)への移籍をペレ(Pele)氏から誘われたが、これを断った。

 カルロビッチ氏は昨年2月、ヒムナシア・ラ・プラタ(Gimnasia y Esgrima La Plata)の監督としてロサリオでの試合に臨んでいたマラドーナ氏と面会。マラドーナ氏は「トリンチェ(Trinche、カルロビッチ氏のニックネーム)、あなたは私よりも優れていた」と記したサイン入りのユニホームをカルロビッチ氏に手渡していた。(c)AFP