【5月10日 AFP】新型コロナウイルス感染が流行する中、ベラルーシで9日、第2次世界大戦(World War II)でナチス・ドイツ(Nazi)に勝利してから75年となる戦勝記念日(Victory Day)の式典が開かれた。首都ミンスクでは、集まった大勢の人々を前に軍事パレードが行われた。

 隣国ロシアは、コロナ流行を受けて戦勝記念日のパレードを中止。旧ソ連の中で、コロナ感染者が出ていながら今年の式典を開催したのはベラルーシだけだ。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)と、それをめぐるさまざまな動きを「精神異常」と軽視する姿勢を示している同国のアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は、軍幹部らと共に軍服姿で式典に臨み、約4000人の兵士による行進や、上空を飛ぶ飛行機やヘリコプターを見守った。

 ベラルーシでは新型コロナ流行で2万人以上の感染者と121人の死者が確認されている。世界保健機関(WHO)は同国政府に対し、式典の「代替案」を検討するよう求めていた。

 しかし、1994年から大統領を務めるルカシェンコ氏は、「伝統を変えようと考えることすら…受け入れがたい」と発言。テレビで放送された映像には、並んで軍事パレードを見る高齢の退役軍人たちの姿が映っていたが、その多くはマスクを着用していなかった。

 その中で、ルカシェンコ氏の子どもや孫たちの不在が目立った。後継者候補とうわさされている息子のニコライ(Nikolai Lukashenko)君は、通常は大統領の隣に立っていることが多い。

 ベラルーシは、ドイツから最初に侵略を受けた旧ソ連国の一つ。1941年6月22日にドイツ軍の侵攻が始まり、44年8月まで占領された。だがベラルーシの大半は、強力な非正規部隊(パルチザン)による抵抗運動の支配下にあった。戦争でベラルーシでは多数の死者が出たほか、ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)で数十万人のユダヤ人が殺害された。

 中央アジアの旧ソ連国、トルクメニスタンも戦勝記念日のパレード開催を発表しているが、同国では新型コロナウイルス感染者は一人も報告されていない。(c)AFP