【5月9日 AFP】ロシアは9日、新型コロナウイルスによる外出制限が敷かれる中、第2次世界大戦(World War II)の終戦から75年となる戦勝記念日(Victory Day)を迎え、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は国民に対し、団結すれば「私たちは無敵」だと呼び掛けた。

 ロシア政府は各国首脳を招待して大規模なパレードを行う予定だったが、新型ウイルスの感染者が急増し、当局も国民に対して自宅にとどまるよう促していることから延期。今年の戦勝記念日の式典は静かなものとなった。

 プーチン氏は、クレムリン(ロシア大統領府、Kremlin)の赤れんがの壁の外で、戦没者にささげられた「永遠の炎(Eternal Flame)」に一人で歩いて向かい、花を手向けた。

 ロシアの新型ウイルス感染者は9日時点で計20万人近くに上っているが、プーチン大統領はテレビ演説で新型ウイルスについて言及しなかった。

 その一方で、ロシア人が「大祖国戦争」と呼ぶ第2次大戦において、旧ソ連が支払った犠牲を強調。現在、同国が直面している脅威を示唆し、「わが国の(第2次大戦の)従軍兵らは死に抗い、生きるために戦った。私たちにはこれからもずっと、彼らの団結と忍耐力に匹敵する力がある」と述べ、「団結すれば、わが国は無敵であることを私たちは知っており、固く信じている」と呼び掛けた。

 演説の後には、儀仗(ぎじょう)兵がプーチン氏のそばを行進。テレビは付近にある人けのない赤の広場(Red Square)の映像を放映した。

 また、ヘリコプターや爆撃機、戦闘機がモスクワの上空を飛行。クレムリンの上空では、ロシアの国旗の色である赤、白、青の煙を放った。

 当局は9日、この24時間で新たに1万817人の感染者が確認され、感染者は計19万8676人に達したと発表。ロシアの感染者数は、米国、スペイン、イタリア、英国に次いで世界で5番目に多い。

 一方で、9日時点でこれまでに発表された死者数は1827人で、発表されているロシアの致死率は他の多くの国よりはるかに低い。

 当局は検査対象を拡大し、濃厚接触者を追跡している取り組みが功を奏していると主張しているが、数字を疑問視し、死者数を過少報告しているとして当局を非難する人もいる。(c)AFP/Michael MAINVILLE